元恋人の甘い痛み【完】
結局行く宛てが分からないまま車に乗り、雷牙はハンドルを握り車のエンジンをかける。
シートベルトを締め、見慣れた景色を眺める。
いよいよ誕生日は明日にまで迫った。
今日から泊まりなんてどんな誕生日が待ってるのだろう。
「二泊なんて旅行ね」
「ああ、そうだな」
「で、何処へ行くの?」
「まだ聞くか」
「もう、口が堅いんだから」
「それはお互い様だろーが」
「そうかしら?私よりも雷牙の方が圧倒的に堅いと思うわ」
「いや、お前も大概だ」
そう言う言い返す所がまた、頑固だし負けず嫌い。