元恋人の甘い痛み【完】
小高い丘の上か林の中か分からないけれど、暗い夜道をただひたすら歩き下りて行く。
一本道だから助かったんだけれど、静寂な中不気味さだけが残り自然と足早になる。
暫くすれば背後から車のライトに照らされる。車が横を通り過ぎたと思った矢先、目の前で停車すれば中から雷牙が出て来た。
「帰るぞ。乗れ」
「…自分で帰るわ」
「此処は街からの離れになる。歩きは時間かかる」
「構わない」
「言う事を聞け」
「今日はもう放っておいて」
今日は一人で居たいのよ。お願いだから一人にして。