元恋人の甘い痛み【完】
フロント係の人は此方をチラッと見て視線を逸らす。今のって明らか“見てはいけない感”が出てたわ。
普通はこうなるわよね。私なら間違いなくそういう目で見てしまうと思う。
私がジュオールの社員でなければ周りの目なんて気にしなかったと思う。だけど、秘書なんだもの。そういう訳にはいかない。
「優里」
「…………」
雷牙に着いて行きエレベーターに乗ると、雷牙は最上階のボタンを押した。
最上階…?
最上階って…スイートルーム専用の階よね。