元恋人の甘い痛み【完】
五、一夜の過ち


――――――
――――
――


会食を放棄してから二週間が経つものの、先方は取引の延期を申し出るかと思いきや何も言って来ない。


あれだけ大口を叩いていたのに何もないなんて、ただの脅しでしかなかったのだろうか。


よく分からないけど、何も言って来ないと言う事は大丈夫って事と取って良いわよね。


秘書室のデスクでパソコンと向かい合っていると、内線が鳴り響き受話器を耳に宛がう。


「はい、秘書室ですが。はい、はい。あぁ御伺いしてますので通して下さい」


今日はジュオールホテルの広報兼フロント担当の方がお見えになると雷牙から聞いていて、その方がお見えになられた。


< 66 / 709 >

この作品をシェア

pagetop