元恋人の甘い痛み【完】
「…心臓が潰れるかと思った」
「クスクス、あの雷牙がねぇ」
「嘘だと思ってるだろ」
「いつも堂々としている雷牙しか知らないもの、私」
「顔に出さないだけだ。格好悪いからな」
「男のプライドってやつね?」
「ああ。あん時は若い事もあってか、無我夢中でお前を抱いたが……今思うと恥ずかしいな」
「そういうものなの?」
「ああ」
雷牙は頷くっ私の背へ腕を回しぎゅっと抱き込んだ。
触れ合う部分が暖かくとても癒される、心地良い抱擁に瞼を閉じた。