元恋人の甘い痛み【完】

「…心臓が潰れるかと思った」

「クスクス、あの雷牙がねぇ」

「嘘だと思ってるだろ」

「いつも堂々としている雷牙しか知らないもの、私」

「顔に出さないだけだ。格好悪いからな」

「男のプライドってやつね?」

「ああ。あん時は若い事もあってか、無我夢中でお前を抱いたが……今思うと恥ずかしいな」

「そういうものなの?」

「ああ」


雷牙は頷くっ私の背へ腕を回しぎゅっと抱き込んだ。


触れ合う部分が暖かくとても癒される、心地良い抱擁に瞼を閉じた。
< 661 / 709 >

この作品をシェア

pagetop