元恋人の甘い痛み【完】
未練なんてさらさらないつもりだし、この感情が何処から来ているものなのか分からない。
「自分の感情が分からないなんて、可笑しいわよね…」
時間を忘れるくらいに、ただただお酒を沢山飲み何もかも記憶が無くなれば良いと願う。
記憶がなくなれば、何もかも一からやり直せる。雷牙ともきっと良き仕事のパートナーになれる。
私達は過去があるからきっと、こんな風に上手く行かないんだわ。過去が無ければただの遊び人社長として軽く流せるって思う。
……だけど…―――。
「おい」
……誰…?
「飲み過ぎだろ」
……放っておいて……―――。