元恋人の甘い痛み【完】
と、とにかくこの状況から逃れなきゃ。
不意に身を起こそうとした刹那、背後より聞き慣れた低い声が耳に飛び込んで来て思わず肩を縦に揺らした。
「帰るのか?」
「…ええ」
「昨夜のお前は可愛かったぞ。普段ツンケンしてるのに、セックスとなると甘えるのな」
「…何もなかったんでしょ?」
「それを見ても言えるか?」
「……!」
雷牙が指差す胸元へと視線を流すと、そこには無数のキスマークが散らばっていた。
…信じられない。