元恋人の甘い痛み【完】


嫌だって言ってるのに、この男は何処まで強引なの。こんな男の思うがままなんてなりたくない、絶対に嫌…。


と、その時。


雷牙の携帯電話が鳴り響く。やっと解放されると思ってほっとしたのに、雷牙は全く気にしない様子で胸に顔を埋め舌を這わせる。


「ちょっと、電話が鳴ってるじゃない…」

「…気にするな」

「気にするから出て」


雷牙はピタッと動きを止めるなり、私の目を覗き込む様にじっと見つめる。


「…女からでもか?」

「…何が言いたいの?」

「お前を差し置いて女と会う事になっても良いのか?」


雷牙は私から視線を逸らさぬまま、じっと見つめたまま頬をさらりと撫でた。


< 81 / 709 >

この作品をシェア

pagetop