元恋人の甘い痛み【完】
嫌だって言ってるのに、この男は何処まで強引なの。こんな男の思うがままなんてなりたくない、絶対に嫌…。
と、その時。
雷牙の携帯電話が鳴り響く。やっと解放されると思ってほっとしたのに、雷牙は全く気にしない様子で胸に顔を埋め舌を這わせる。
「ちょっと、電話が鳴ってるじゃない…」
「…気にするな」
「気にするから出て」
雷牙はピタッと動きを止めるなり、私の目を覗き込む様にじっと見つめる。
「…女からでもか?」
「…何が言いたいの?」
「お前を差し置いて女と会う事になっても良いのか?」
雷牙は私から視線を逸らさぬまま、じっと見つめたまま頬をさらりと撫でた。