元恋人の甘い痛み【完】
「…叩くな。悪いのはアイツだけじゃないだろ」
「…どうして庇うの?好きだから?」
「何でそうなる」
親友の前では悔しいから絶対に泣かないと決めてた。親友の前だけじゃない、どんな事があろうとも絶対に泣かないって思って今まで来た。
だけどもう、限界…。自分が惨めで仕方ない…。私だけが何も知らずに毎日過ごしてたんだ…。
「こんな事なら…雷牙を紹介するんじゃなかった……っ…どうして、恵梨香なの……ヒクッ…どう…して…」
「…悪かった」
「…っ……楽しかった?二人して秘密事を作って……何も知らない私を見て…楽しかった?いいきみだった…?」
「…そんな訳ないだろ」
雷牙は私の腕を掴んだまま離さず、それ所か掴む手に更に力が込められ痛いくらいだった。