As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
結、
これでいいんでしょう?
横目で結を見ると……
結もまた、固い表情を崩さずに……
中道を見ていた。
「…ありがとう、結ちゃん。」
中道はそう言って……
ようやく少しだけ笑った。
「うえはらぁ~」
「…ナニ。」
「…じゃあな。」
「…うん。」
そのまま身体を翻すと……
水色傘の中へと……
姿を消した。
結には【結ちゃん】で…
『ありがとう』。
私には【上原】で…
『じゃあな』…。
「…なんなのさ、あいつ……。」
小さくなるその背中に……
そっと呟く。
「……柚?」
「えっ、…ナニ?」
「…。…帰るよ?」
「ああ、…うん。」
二人で一つの傘の下。
やっぱりそれはちょっと狭くて……
家に着く頃には、私の左肩と…結の右肩が濡れていた。