As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
その夜、ちょっぴりドキドキしながら……


佳明を、花火大会へと誘ってみた。





『俺が帰る頃には、最後の大輪の花が咲くんじゃない?』



電話越しの声が低い。



『…あーあ、見たかったな。柚の浴衣姿。』




そんな嬉しいひと言を…
忘れることがない。



だから…


ガッカリする気持ち半分、



ドキドキする気持ちも半分。



「…今度、二人で花火でもすればいいよ。佳明も浴衣ね。」



『マジ?持ってないし。』



「嘘、ジョーダンだよ。……ありがとね。」






私達はいつもこうやって……


二人の気持ちのバランスをとりあっている。



想いが釣り合うように……


重くならないように、



そうやって……




小さな喜びと幸せを…
分かち合っていたんだ。







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