As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…無視すんなって。」




「…………。」




「…おいっ。」




ついに、肩に手を置かれ……



動きを制される。




「……やめてください。」



その手を払いのけ、私は男の方へと振り返った。





「…………なっ……」




「よお。」




「…………中道っ!?」




「馬鹿だなあ、お前。気づきもしないでやんの。お堅いのは相変わらずだな。」




制服姿……。


斜めに掛けられた大きな鞄。




そこにはまさしく……



部活帰りの、中道侑。




「馬子にも衣装とはまさにこのことなんだな。アハハ、髪型かわい~。」




「……?はあ~?」



馬鹿にしているのか?



とにかく奴は、上から下までじーっと私の姿を見据えると……



眉を垂らして笑った。


「…ハイハイ、どうせ似合わないですよーだ。」



私はカラコロと音を鳴らして歩く。



「…誰もそんなこと言ってないだろ?似合うって。」



「……いーの、別にフォローなんてしてくれなくても。」



「や、マジで。だって俺すっ飛んで帰ってきたんだもん。」



「……は?」



「…ホラ、これ。」





「…………。げ。」





中道が携帯画面を突き出す。



そこには……



紛れも無い、私の浴衣姿……。





「…なんでアンタが……。」




「…紗枝ちゃんだよ。なんか、佳明に送ろうと思ったみたいなのに…間違って俺によこした的な感じ。」



「…はあ?」



そこ……
間違う所?!



「…そしたらさ、紗枝ちゃんちゃーんとあいつにも送ってた。しかも超写りのいいやつ!あいつ見せ付けてくるからさあ、妙にムカついた。」


「……へぇ……。」





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