As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…で、ダッシュで来た訳。こうなりゃリアルを見てやろうって。佳明には会った?」


「……。佳明は…多分来ないよ。」


「そうかなあ…?」


「そうだよ。」




馬鹿はどっちよ……



そんなに汗かいて、急いで帰ってきて……。



なんで……?



ねえ、なんでこんなことするの?






「…つーか、結は?」



……あ……。
そうか……。



「てっきり一緒かなって思ってたけど、一緒じゃねーんだ。」



そういうことか。





中道は……



私に会いに来たんじゃない。



結がいると思って……。





「…結は友達と一緒に行くって言ってたから……、別だよ。」



「…ふ~ん。」



「…アンタが誉めてくれたこの髪型は結の作品。」




「…おッ。さすが結。俺の好みわかってんなあ……。」





「…あのねえ、アンタの好みにされても…。意味ないよねぇ……。」



「………。そうでもないと思うけど。」




「……え……?」




何………?




「…じゃー帰りますか!」



「…もう帰っていますが。」



「一緒にってことなんだけど。」



「何で私がアンタと……。」



「…夜道に浴衣の女がひとり。そんなかっこうな餌食はないだろ。いいから送られとけ。」



「結に誤解されたくないのですが?」




「…大丈夫、あいつはしないよ、誤解なんて。」



「……。そうかなあ……。」



「大丈夫だって。」




中道はひょいっと道路の沿石に跳び乗ると…


ふらふらと、その一本道を歩いた。


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