As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「あんた意外とバランス力ないね。」
「体幹鍛えてんだ、そのうちこんなの楽勝になるよ。」
「……。どーだか。」
「じゃあお前もやってみろよ。案外難しいっての。………あ、でも下駄だし無理か。」
「こんなの脱げばいーし。」
私はその場で下駄を脱ぐと……
沿石に、ひょいっと乗っかった。
飽きれ顔の中道。
「…お前さあ、浴衣なんだから、ちょっとくらい女らしくしたらどうよ?」
「いーの、もう花火は終わったし、夏の夜じゃなきゃ…、こんなバカもできない。」
「……一理あるかもな。」
そのままゆっくりゆっくり……
私達は、肩を並べて歩いた。
変なの。
すぐ隣りの中道と……
ほとんど同じ、めの高さ。
「……あっという間だったな、夏…。」
中道がボソッと呟く。
「お互い部活ばっかだからね、よりそう感じるのかも。」
「…そうだよなあ…。なんかさ、甲子園なんて馬鹿な夢なんじゃないかって思えてきてた。」
「…なんで……?」
「…練習しても、練習しても、まだ足りない。感覚がなかなか戻らない。自分の思いに…身体がついてこない。なっさけねーよな。誰がどう見ても、今の俺は誰よりも一番下手くそ。」
「…仕方ないじゃん、アンタがサボったんだから。」
「……お前は…、優しくねえなあ…?」
「…残念ながら、同情するような甘い言葉は今持ち合わせてないの。」
「…………。」
「…でも……、努力はしてる。…人一倍。努力は…報われる。」
「…………。」