As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…焦るな、中道。できることから始めればいい。私もそうだったから……。」



「……お前らしいな。」




「…まあね。…ってか、アンタより私のがバランスバッチリじゃない?」



沿石は…



ちょうど、緩やかなカーブを描いていた。





「………柚、ありがとう。」





「………?!…うわっと、と……」





中道の意外なひと言に…


バランスを崩す。





「…どこが俺よりバッチリなんだよ。」



足を踏み外したその身体を…



中道が支えてくれた。




「…アンタが急に変なこと言うから……」



「…ありがとうの何が変?」



「感謝されるようなこと、してないもん。」



「…したね。」



「してない。」



「…したって。」



「何のことを言ってんの?」




「…お前だろ?いつも部室の前に飲み物置いてくれたの。」



「………。知らないな。」



「…じゃあ俺は、得体の知れない奴にいつも励まされていたんか?」



「…そうなんじゃない?ああ、ストーカーとか。」



「…マジか!何か入れられたんじゃないだろうな……。」



「馬鹿じゃないの。そんな訳ないじゃん。」


「……だといいけど。」



「………。まだ一年生だもん、私達。まだまだチャンスはあるし、簡単に諦めることなんてしたくないじゃん。そんな同志がいることは……私にとっても強みになる。」



「…………。」




「それに……、馬鹿な夢かどうかはわからない。本気で目指す者が他にもいる。…追いついて、一緒にもがけばいいじゃん。」




中道……


アンタは自分のことをよく知っている。




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