As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
……!
そんなに告白されてるのか!
でも…まあ、奴には結がいるからな…。
「……一途ですから。」
ズキンと……
胸に重い痛みが走った。
「…あ~あ、あんたの彼女がうらやましいよ。」
「…じゃあなってみる?」
……はあ…?!
「…えっ……」
柏木……、動揺してるし。
なに誘惑して……
「……嘘だよ。俺は好きな奴としか付き合えないし、手ェ出せない真面目男子だから。」
「……え…?」
つい口から…ポロっと声が出てしまった。
「……。おい、上原ぁ~。盗み聞きはやらし~ぞ。」
ひぃぃ!聞こえてた!
ぐるんと前に向き直す。
よく…そんなこと言えたもんだ。
あんたは私に、キス……
「…まあ。好きじゃない奴とキスできる奴もいるみたいだけど…、俺にはわかんねーな。」
………。
それ…、私はどうとらえたらいいワケ?
怖くてそれ以上後ろを……
見れなかった。
「柚ー、帰ろ。」
放課後一番に、私のクラスのドアを開けたその人に……
皆の視線が集まっていた。
「…佳明…。なんで…?」
「…今日部活なしじゃん。だから迎えにきた。」
「あ……。そっか。ちょっとまってね。」
周囲に冷やかされて、私は次第に顔が熱くなる。
「…ちょっとまって。」
机の中から教科書やノートを取り出して、バッグにいれる。
大いに慌てたせいで……
口の開いていたペンケースが、床に叩きつけられ……
筆記用具がちらばった。
カッコわる……。