As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
教室がどよめく。





私はゆっくり顔を上げて……



中道の顔を見た。




薄茶の瞳が…揺れている。



真剣な眼差し。



これが嘘だと…



否定なんてできないような。




「……は?」



佳明の肩が…


小さく震えていた。




「……本当に?」



「……………!」




ここにいるみんなの視線が今……



私に向けられていた。





「……ふざけんなッ!!」



佳明が中道に掴みかかる。




周囲の男子が必死にそれを止めて……


二人を引きはがす。




「…ふざけんな!何してんだよお前!」


「…ふざけてなんかねーよ。したかったからした。…それだけ。」



「…柚の気持ち、考えてんのかよ。」



「…そんなの…聞いてたら、手に入らねーだろ。」








「…もうやめな。」




頬を叩く音が2回。



二人の前に立ちはだかったのは……



律だった。




「…冷静になれば。中道も、里中も…。」



「………。」



「…柚がその時どんな気持ちだったかなんて…アンタ達にはわからないでしょうね。」



「落合。その時どうだったかなんて…今更知らなくてもいい。でも……隠されていたことは、紛れも無い事実だろ。柚の気持ちが今どっちにあるのか…ちょうどハッキリさせたかったんだ。」



佳明は……


淡々とした口調で律に詰め寄った。



「…そんだけお前は自信がないんだ?付き合ってるのに?」



「…中道。アンタは煽るな。」



「…りっちゃん。先に煽ったのはコイツだ。」



「…減らず口だな、相変わらず。選ぶのは柚だ。……柚、ハッキリ言ってやれ。」



佳明の、酷く冷静な言葉が…突き刺さる。




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