As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
綺麗に片付いた律の部屋。
「………マジでキスされてたんだ…。」
ベッドにもたれかかった律が、ふうっと息を吐いた。
まさに、事情聴取中。
恐縮して、体育座りを決め込む私。
「…馬鹿だねえ、中道も。どうして手ェ出したかな。」
「…したかったからって言ってた。」
「…いや、そりゃそうだろうけど。てかさ、柚を野球に誘ったり、野球をまた始めるきっかけだって……ある意味あんたの言葉があったからって言ってもおかしくない。てか…、どう考えても、アンタに対する未練ってもねがあるようにしか見えないんだけど…?」
「結がいるのに?」
「…それなんだよねぇ…。相手がいるのに、柚にちょっかい出すって。…てか…、そもそも、何で結と付き合ったんだろ?」
「好きだからでしょう?」
「…そうかな…?私には、里中にヤキモチやいてるようにしか見えないよ?柚をとられて悔しいっていう気持ちが…隠せなくなってる。」
「………。」
「…しかし……、野球部の応援でも、花火大会でも、柚と一緒にいただなんて…しらなかったな。」
「…言えなかった。」
「…だろうね、結がいる手前。」
「…中道はさ…、一体どうしたいんだろう。キスのことまで暴露して…。」
「…あいつってさ…、案外ストレートな奴じゃん?他の男の彼女に、あんなこと普通言えないよね。だからさ…、単純に、好きなんだよ、柚のこと。」
「………。」
「…耐えられなかったんじゃないの?二人がイチャつくの。」
「…いちゃついてなんかないけどな。」
「…タイミングだよね…。先に中道が告白してたら、アンタと中道はうまくいったかもしれない。中道もそれに気づいてるからこそ…諦めきれない。里中も、どこか自信を持てずにいる。アンタの中に、中道の存在がまだどこかにいるから…。」