As Time Goes By ~僕等のかえりみち~




翌日……









私は、重い足どりで…


学校の廊下を歩いていた。



朝はどうってことはなかったのに……


時間がたつにつれ、周囲の目が気になってきた。



ヒソヒソ声で会話する人達は皆…、私を見ているんじゃないかって思うくらいに、視線を感じる。


おまけに昨日まで普通だったクラスメイトが…急によそよそしい態度をとり始めていた。



男子の中には、「いい男二股かけるとどういう気分?」…なんて、悪びれもなく聞いてくる人もいる。




どうやら中道とのキスが噂になって…



私が二股かけていたんじゃないかという憶測。



しまいには、私と中道のデート目撃談までが浮上…。
(おそらく結とわたしの勘違いと推測される)






「…駄目だ…、学校は完全にアウェーだ。ごめん、お昼、屋上で食べて来る。」



状況に堪えきれない私は、弁当袋片手にたちあがった。



「…私も行くよ。」



律はそう言ってくれたけど……




「…一人にさせて。」



それを断り、教室を後にした。












照り付ける太陽は想像以上に痛くて…



私はすぐに後悔した。


ましてや昼休み……。




そこはカップル達の憩いの場になっていて…



所々に、その暑苦しい姿が点在する。




「…場所、間違ったなあ…。」



ひとり者の私は、かえって目立つ。



そしてやっぱり……


その視線が気になった。








「…うん、旨い。」





タマゴ焼きを口にして…



自画自賛する。








「…ふーん。…どれ?」



上から声がして…ひょいっと手がのびてくる。



「…お。旨い。」





< 182 / 739 >

この作品をシェア

pagetop