As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
翌日……
私は、重い足どりで…
学校の廊下を歩いていた。
朝はどうってことはなかったのに……
時間がたつにつれ、周囲の目が気になってきた。
ヒソヒソ声で会話する人達は皆…、私を見ているんじゃないかって思うくらいに、視線を感じる。
おまけに昨日まで普通だったクラスメイトが…急によそよそしい態度をとり始めていた。
男子の中には、「いい男二股かけるとどういう気分?」…なんて、悪びれもなく聞いてくる人もいる。
どうやら中道とのキスが噂になって…
私が二股かけていたんじゃないかという憶測。
しまいには、私と中道のデート目撃談までが浮上…。
(おそらく結とわたしの勘違いと推測される)
「…駄目だ…、学校は完全にアウェーだ。ごめん、お昼、屋上で食べて来る。」
状況に堪えきれない私は、弁当袋片手にたちあがった。
「…私も行くよ。」
律はそう言ってくれたけど……
「…一人にさせて。」
それを断り、教室を後にした。
照り付ける太陽は想像以上に痛くて…
私はすぐに後悔した。
ましてや昼休み……。
そこはカップル達の憩いの場になっていて…
所々に、その暑苦しい姿が点在する。
「…場所、間違ったなあ…。」
ひとり者の私は、かえって目立つ。
そしてやっぱり……
その視線が気になった。
「…うん、旨い。」
タマゴ焼きを口にして…
自画自賛する。
「…ふーん。…どれ?」
上から声がして…ひょいっと手がのびてくる。
「…お。旨い。」