As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「………中道?」



よりによって…



なぜアンタがここに!


しかもちゃっかり人の弁当…。



「…自分で作った弁当?」



中道はてんでお構いなく、隣りに腰かけた。



「結が言ってたから。自分で作ることもあるって。それ…お前の手作り?」


「…そうだけど…。」


「ふーん、とことん意外だな。料理もできるんだ?」



「よく言われるけどね。」




「「……………。」」



なに、この展開……。




周りのカップルがこっち見てるし。



「…なんか…、悪かったな。根も葉も無い噂たてられて。」



「…えっ…。」



中道は持っていたパンの袋を開けると……


パクリとそれを口にした。



「…ホントにね……。」


こうも普通に謝られると、怒る気すらしない。



「俺、後先考えなく行動しちゃうからさ。…特に…お前のことになると。」


「………!」



「…うっかりキスしたり、手ェ繋いだり。そこに後悔なんてひとつもなかったりもするんだけどさ……、さすがにさっきお前が階段かけ上がるの見て…初めて後悔した。ここはお前の駆け込み寺だろ?いつだっけ…、お前が結ちゃんと喧嘩みたいになったときも…ここにいたな。」



「…そうだっけ。」



中道は……ちゃんと覚えてくれている。


適当な奴ではないって私自身が知っていたはずだった。




「…いつも結のことばっかり思い悩むんだな。少しくらいさ、俺のことで悩めばいいのに。」



今回は……
結はもちろん、アンタのことで悩んでるんだけどな…。



「…にしても…、あちーな、ここ。」



胸元をシャツでパタパタと仰ぐ中道。



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