As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
そのはだけた所から、鎖骨が見え隠れして……



ドキっとした。



目のやり場に困る。




「なあ、どうせならさー……、噂を本当にしちゃう?」



「……な、なな…、何を馬鹿なことを…。」


「…うん、我ながらいい考え。」


「……はあ??」



何考えてんのよ?!




「……やっぱ駄目か。」



「当たり前でしょ?!」



「…じゃああいつと別れて俺と付き合って。」



「……は?」




ますます意味が……



「な…によ、あんたには結がいるでしょう?」



「…俺が結を好きだって…、一度でも言ったことがあったか?」



「…………え?」



「付き合ってるように…見えた?」



「…………。」


「…負け惜しみかもしれない。けど…、ちゃんと言わないと伝わらないんだなって思ったよ。もっと早く…言えば良かった。」



「……中道…?」



いつもの調子で、サラリとそんなことを言うから……




「中道…。アンタ、私のこと……。……好きだったの?」




私もつい、直球で返してしまった。






「…うん、そう。ムカつくくらい好きだった。」



「…………。」




「…誰かさんはちっとも気づかねーし、おまけに他の男に持って行かれし…。散々だったけどな。」



今更こんなの……


こんなことって……



ねえ、なら結は……?


あんたにとって結はどんな存在だった…?




「…ゆ…、結は……?中道は結と……」



「…それは…結に聞いて。俺から話すことじゃない。」



「……え……?」



「……それより。もー限界。つか…、降参。隠し通すには…最初から無理があった。」



中道はフェンスにもたれかかって、「あーあ。」と小さくつぶやいた。






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