As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…そっか…。」



「…そんなときに…、結がね、アンタを好きになった。」



「…………。」



「上手くいけばいいって本気で思った。今もこの気持ちに……変わりはない。」




「…………。」




「…それにね、アンタのことで悩む私を…支えてくれた人がいた。」



「…俺のことで……悩んだ?」



「結構ね。」



「……なん…で言わないんだよ。」



「言える訳ないでしょう。」



「…で、アッサリあいつに持っていかれたって話?」


「……ビンゴ!」


「『ビンゴ!』じゃね~よ!それって俺のことで思い悩むお前の気持ちに付け込んで…」



「失礼だなあ…、心を奪われたと言って。」



「……結局ノロケ?」



「そう聞こえるならごめん。」



「……う~ん。ちっとも真剣にならねーなあ…。」



「……真剣になった方がいい?」



「…いや、怖いから…いつもみたいにいこうや。」



「……うん。…でね、私には佳明がいるから……中道の気持ちには、答えられない。」



「…………。」



中道の顔から一瞬……


笑顔が消えた。




「……もうとっくにわかってたはずなのに……こうもハッキリと言われたら…案外ショックなもんだな。」



「…中道……。」



「…お前さあ、後悔するかもしんねーぞ。」



「……え?」



「…将来のプロ野球選手を逃すなんて。」



「……それ言ったら、佳明も同じじゃない?」



「コラ、そこはちょっと俺に配慮するとこだろ?」



中道……


笑って…?



ちゃんとこっちを見てよ。


いつもみたいにって言ったのは…そっちじゃない。



なのに……



ちっともこっちを見ようとはしない。





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