As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
ちゅっと音をたてたのは……
いうまでもない、中道と私のくちびるが重なった証拠でもあり……
「バーカ、俺をただで振るからだ。」
そんなふざけた捨てゼリフをはく。
「…………!」
「…目撃者多数。噂になること間違いナシ。でも俺はもう助けてやれねーから。…自分で頑張れっ。」
わたしの肩をポンポンっと叩いて…奴は立ち去ろうとする。
「…………っバカっ!!」
私は口元を押さえて立ち上がる。
あいつのキスはあまりにも優しくて…
意地悪な言葉とはうらはらで………
今までで一番、気持ちが伝わってきたんだ。
きっと私はゆでダコみたいに真っ赤で…
情けない顔をしてるだろう。
奴がくるりとこっちに振り返り……
「…バイバイ。」
と言うその瞬間まで……
その背中に駆け寄りたいとさえ思った。
別れの言葉なんて…言えなかった。