As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
教室に行ったら問い詰められそうだ。
ならば、と…
私は……
自分の教室を通り過ぎると、ある場所へと向かった。
学校の屋上。
朝一番の時間なら……
ここには誰もいない。
知っているのは私と結。
ここから見える空は……
広くて大好き。
綺麗な山並みを見るのが……
大好きだった。
だけど今日に限って……
やっぱり空には雲がたちこめていて……
山にも暗い陰を落とす。
「………。」
グレーに染まる景色が、次第に私を追い詰めていく。
「……はあ~……。」
ひとつため息をついて、フェンスにもたれかかる。
…不思議だな。
結と喧嘩する度に……
バランスを保つ術を失っていく。
双子って、他人のようで……
やっぱり自分の一部なんだろうな。
今朝の結の顔……
見れなかった。
ポジティブで笑顔を絶やさない結。
その顔を伏せていたとするならば……
よほどのことだった…?
その場に体育座りをして……
額を膝に、押し付けた。
…と、
首筋にポツリと何かが落ちてきた。
「………。」
やっぱり……?
「…雨………。」
唯一の癒しの場所ですら…
私を追い出そうとしている。
「…最悪……。」
スカートに付いた砂をほろって、屋上の入口へと急ぐ。
その間にも……
雨は激しさを増していた。
屋根の下に飛び込み、少し濡れた髪を手で撫でる。
…せっかくかわいい髪型にしてもらったのにな。
「………。」
そこでようやく…、
私は顔を上げた。
「……は?」
目の前には何故か…
中道。
「…何でアンタがいるのよ~…。」
「お前こそ何でいるの?もうHR始まるっつーの。俺は授業サボる時はいつもここ。学級委員がサボりか?」
「…そんなんじゃないよ。」
「あっそー…。」
何でだろう……
こんな時なのに、ホッとする自分がいる。
一人じゃない。
そんな事実が……
こんな時だからだろうか、安心感をもたらす。
「お前はさ…、アレだよな。」
「………?」