As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…悪かったね。でも……」



「…何だよ。」



「……もうHR始まってるよ。」



さっき…、予鈴鳴ったよね。



「…………。」



…気づいてない?
耳に入らなかったってこと…?



それはつまり……


私の話を真剣に聞いてくれたってことかな。



「…じゃあさ……」



「……ん?」



「お前もまだ行かないの?」



「…うん、もう少しここにいる。」



「…なら……」



「……?」



「…お邪魔します。」



「………。」



中道はゆっくりとこちらに戻って来ると…



私の隣に腰を降ろした。





急に真面目な顔になるから…、



私はどうしたらいいのかわからない。



ほんのちょっとだけ……



いいやつかもなんて思ったり…、



どうしてここにいるんだろうって思ったり……



もやもやしていた気持ちが、なんだかこそばゆいものへと変化してきて……




中道を直視することができない。




もう少し……



私に可愛いげがあったら、中道はどんな態度をとるんだろう。



女の子扱いするのかな。



それはそれで……


想像できない。



でも……



こんな私だからこそ、今ここにいるのかもしれない。




調子が狂うのはもしかして中道も同じ……?



悪態つきあう私達は一体どこへいったのか?




短くて……



長い時間。




私達はやっぱり無言のまま……




その瞬間を過ごした。




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