As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「柚、もう帰れる?」
その日……
うちのクラスにひょっこりと顔を出した佳明。
「うん、後はコレ片して終わり!…そっちは?」
「野球部のゲームコーナー設置したら帰れるよ。つーか、ソイツ、中道こっちによこして。」
「げ。」
「『げ』じゃねーよ!1年の仕事だから早く来いってあんだけ口酸っぱく言ったのに。」
「あーあ。見つかったか…。」
「おう、新入り!態度デカイぞ。」
「うっす。」
「…じゃあ先行ってるから、はよ来いよ~!………あ、柚も終わったらこっち来て。」
「うん!」
じー………っと、クラスメイトの視線。
「柚さあ、これだからやっかまれるんだって。」
その中の一人、金本凪が……
私に耳打ちしてきた。
「…やっかみ?」
「そ。ただでさえ中道と仲良くて?で、里中と付き合ってるかと思えば中道との噂が再浮上。どんだけ女を敵に回してんの。」
「……!そんなつもり……」
私も、ついムキになる。
「…はいはい、怒らない。アンタの性格はよーくわかったよ。嫌なこと押し付けられよーが、何言われよーが、泣き言ひとつ言わなかった。根性あるってか、神経図太いっつーか……。それでいて天然だから困る。」
「…………??ええーと……。」
つまり、は……?
「認めざるを得ないのよ、つまり。いびり倒したこっちの負け。」
「………!」
「結局あんたのおかげで優勝したし?明日の準備も万端。」
「別に、私の力じゃ…」
「…みんなそう思ってる。てか、思わせた方の勝ちでしょ。」
凪はそう言って……
ニヤリと笑う。
「悪かったよ、ホント。てっきりモテ女特有のぶりっ子女かと思ってた。アンタの双子の片割れが…そんな感じじゃん?」
え……?
結が………?
「私は別にどうっても思わないけどさあ、あっちはあっちで大変そうじゃん。」
「……どういうこと……?」
「……いや、詳しくは知らないけどさあ……、アンタの方がよく知ってるんじゃないの?」
「………知らない……。」
何……?
結に……
何があるっていうの?