As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「かなり女子からの風当たり厳しいって……。ハブられてるって聞いたけど。」


「…………。」



ハブられて……?



結、そんなのひと言も……。





「まあ、なんだかんだ学校来てるんだから、アンタと同じで相当根性座ってんじゃん?………じゃ、準備終わったからウチらはお先に。…お疲れ、実行委員!」



「……お疲れ。」





クラスメイトの誤解は解けた。


でも……、



でも………!





「うわ、ごみ箱満タン。上原ぁ、ゴミ捨て行ってくるべ。」




中道が声を掛けてくるその時まで……



私はその場に、呆然と立ち尽くしていた。




「……え。………あ、うん。」









中道と……


歩幅を合わせて歩く。



会話はゼロ。




なぜに……無言なの……?




気まずい沈黙を……



中道が先に破った。




「金本…、なんだって?」



前を向いたまま…



ポーカーフェイスで奴は聞く。




「……うん、なんていうか……、仲直り?」



「………。お前ら喧嘩してたのかよ?」



「……んー……、いや、そういうんじゃないけどね。」




アンタが一因だとは……



さすがに言えない。



「…ふ~ん、そっか。」



素っ気ない返事だけど…、



もしかして、気に掛けてくれた?




「……もう、大丈夫だから。」



「…………!」



「色々ありがとね。」



「…何の話?」



「いーから!」



「……?わけわからん…。」





うなじをさすって照れ隠し…。


中道の癖。



…覚えちゃった。







ゴミ捨て場に到着し、二人同時に大量のゴミを投げ込む。





……と、その中に……






「……ん?」




見覚えのある、二つ折りになった水色の画用紙……。



まさか……


と、私が手を伸ばすよりも早く……、




中道がそれを、拾い上げた。





「………これ……。なんでここに?」




中道の瞳に、みるみると怒りがこみ上げる。




「…これ、今朝お前が探してた楽譜だろ?」



「……うん。」



「お前が捨てたの?」



「ううん。」



「だよなあ、…そんな訳ねーよな。」



「…………。」




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