As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
三井くんの言うことは……




正に、正論だった。



彼の言葉に納得したかのように、クラスメイト達は深く頷く。





「…上原さん。学園祭は…明日までだ。喫茶店も大盛況するように…頑張ろう。」



三井くんは……


大人だ。



中道とは真逆の方法で……



皆を導いていく。




「…中道………。」



けど……、



いくら短絡的であろうと、中道が起こしたアクションは間違いなんかじゃない。



私に向けられた優しさは……



この上ないくらいに、嬉しかった。




……嬉しかったんだよ…?







「悪ィ…、そろそろ野球部の方行ってくるわ。」



バツの悪そうな笑顔は、まるで怒られた少年のようでもあった。





「…明日……、楽しくいくべ。」




くるりと振り返り……



奴は最も奴らしい言葉で、皆の心を奪い去る。







中道の懸命さは……
人に伝わる。




「…中道ーっ!」



私はありったけの声で、奴の背中に叫ぶ。



「佳明に伝えてー!やっぱ先帰るって。」



「…あ?なんで?」



「…胸いっぱいだから!」



「……はあ?!」




「…嘘、明日に備えて一秒でも早く寝たいから!」



「んなの大して変わらないだろ?」



「……いーの、明日楽しみにしてるって伝えてーッ!」



「……了解。」


「…………あと………、」



「…何だよ?!」



「…ありがとねー、中道ーっ!」



「……………。」






返事は………なし。


それでもその力強い背中が、



『わかった』って言ってる。





こうやって通じ合えるんだ、私達は……。






そして…明日もきっと…頑張れる。





そうでしょう?





中道……。









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