As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
てはじめに、
私は佳明の姿を探す。
確か……、
この時間は、クラスのことをしてるって言ってたな。
私は喫茶店の宣伝をしながら……
佳明のいる、旧校舎の方へと向かった。
すれ違う同学年の生徒達は、訝し気に私を見ている。
そう……、
おそらく、彼等は結と勘違いしている。
違うクラスの看板掲げてるんだから……
そりゃあ変に思うか。
これはホントに……
この学園祭の雰囲気に流されて、結に告白してくる人……いるかもしれないな。
「……やばい、楽しくなってきたかも…。」
あ……。
そういえば……
佳明との出会いも、ある意味勘違いだっけ。
でも……
佳明が好きなのは、まぎれもなく私だった。
そうそう、アイツがあんなことしなければ、ややこしいことには………。
………って、
佳明に会いに行くのに……
また、あいつのことを思い出してしまった。
イカンイカン。
旧校舎に足を踏み入れて……、
ごくりと一度、息を飲む。
なぜかって?
それは………
そう。
ひんやりとした空気が…………
足元に流れてきたからだった。
「…………暗い…………。」
私の他には……
ぽつり、ぽつりと、一応は……人はいる。
「……………。」
『妖怪寺』。
その入口は……
何かに怯える私の心とリンクして………
妙な不安をかきたてる。
「……いらっしゃい………。」
………………!
背後ろから………
肩に、手を置かれる。
「………はい………?」
恐る恐る振り返ると………
「………………!」
顔が………
ない!!
「…………。ぎ……」
無理……、
無理無理ッ……
「ぎゃあ~ッ!!!」
私は、ありったけの声で。
恐怖に打ち勝つべく………
叫ぶに、叫んだ。