As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
そのまま廊下を突っ切って、
おどろおどろしい看板の前まで辿りつくと………。
その恐怖はMAX!!
何やら受付けらしき場所に佇んでいるのは……
「………1枚……2枚………」
皿を数える女…………!
これじゃあ妖怪寺っていうより……
皿屋敷?!
ゆっくりゆっくりあとずさりし………
その女に見つからないように、視線を落としていたのに。
「…………。みーつけた……。」
「………………!」
お見事!
チラ見した瞬間に、目が合った!!!
「……スミマセンッ、帰ります!!!」
こんな所で佳明探すのは………
身がもたないっ!!
Uターンする為、ぐるりと背を向けると……
ドンっと何かに……
思い切りぶつかった。
「……………。」
その足元は。
下駄を履いた、男の人……。
ゆっくり顔を上げて数秒間。
その、顔なしのっぺらぼうと……
睨めっこ。
「…………スミマセン………。」
まるで全身の力が奪われたかのように……
私はその場に、へなへなと座り込んだ。
「……客じゃないの?」
全くといって表情が読み取れないその顔なしさんが……
耳元で囁く。
この声……、
…………佳明?
「………結ちゃん、わざわざ来て腰抜かすってどーよ?」
「……………。」
え……。
その人が差し延べた手に掴まって、
ふらふらと立ち上がる。
「あれ?わかんない?……里中だけど。」
「……あ、ああ……。里中くん?」
佳明……、
完全に騙されてる?!
「看板持って何してんの?こんな所で。つか、周りはカップルだらけ。……中道は?一緒じゃないの?」
おお……?!
なんて難しい質問を……!
「さ、さっき柚に会って……私が暇そうにしてるからってちょっとだけ宣伝頼まれちゃった。」
いつもよりもゆっくり……
できるだけ、結の口調を真似る。
「随分ひと使い荒いなあ~?」
う……、
墓穴掘った………。