As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
『私は結の代わりじゃあないのに』
…なんて、
私が振った男が柚に言い寄ったりした時には……
語気を荒げて私に報告してきた。
柚は……
知らなかった。
私だって、男子から柚のことを…聞かれたりもした。
信じてくれそうにもないから…、なんとなく、黙っていたけれど。
だから……
どれだけ外見で男の子に好かれようが、
ちっとも勝った気などしない。
中身を知れば……
みんな、柚の方を好きになる。
そんな、確証すらないことで……
勝手に嫉妬したり、
羨んだりしたものだ。
柚は……
陸上の推薦の話が舞い込み、地元の私立名門校への進学が……
ほぼ、決まった。
私には勿論推薦など来ない。
始めて迫られた選択肢。
迷いなく同じ高校を受験しようと思ったのは……
意地と、プライドだったのだろうか。
必死になって勉強し……、
合格発表当日……。
柚に付き添われ見に行ったあの瞬間。
震える手を、彼女はずっと握ってくれた。
こともあろうに……
『あった!結、あったよ!……やったあ~!!』
本人よりも先に、受験番号を見つけた挙げ句に……
無邪気に抱き着いてきた。
『良かった、また一緒だ!』
そう言った彼女の頬に…
涙がひと筋。
『……ん。よかった……。』
ものすごい脱力感。
安心したのと、
嬉しさが……
一気に込み上げた瞬間だった。
やっぱり私は……
なんだかんだ、柚と一緒が良かったのだと…
改めて、気づいた。