As Time Goes By ~僕等のかえりみち~







「…里中くんの好きな人って柚だったんだね。」




家に帰るなり……



玄関に仁王立ちする結。



「…誰に聞いた?」



「里中くん本人っ。」



「…え?は?何で?」



「昨日私と里中くん置いて中道くんとさっさとクラスに行ったでしょ?その時に……。」



「………。」



そういえば…


そんなこともあったな。



「……そっか、だから怒って…?」



「別に怒ってはないけど…、ただ柚が隠し事するから。」



「………!」



「…寂しいじゃん、そんなの。」



「…そっか……。ごめん。」



結も…どうしたらいいかわからなかったのかな。


「全くも~!しかも、振った相手の前で違う男と仲良くする?」



「……ん?」



「だからあ、中道くん!」



「ああ…、アイツも【男】かぁ…。」


「……。アレ…?柚ってさ、中道くんと噂になってるよね。」


「そうらしいね。さえちんから今日初めて聞いた。」



「…なのに……何その興味なさそうな反応。」



「だって別に話してるだけだし、多分あっちもそうだろうけど異性として見てたわけじゃない。本人の意思とは関係ない噂じゃん。」



「………。ふ~ん…。そっか。なら、うちらの取り越し苦労だったわけね。」



「………?」



「…あ、今日ね、里中くんとお昼一緒に食べたんだ。」


「………。もしかして、学食で?」



「うん、そう。柚の弁当見てびっくりしてたから…一口あげちゃった。」



「…は?!」



「いい嫁さんになるって感激してたよん。」



「…いつからそんな 仲良しに…。」



「…あははっ。勘違いしないでネ。里中くんはいい男だけど……彼の一途さが私に似ててさ。すっかり意気投合したわけ。」



だれが……



【一途】?



「でも…、なあ~んだ。そっかあ……。」


結は満面の笑顔で……


「あ。傘…ありがとね。」



そう言って…、玄関を後にした。




「…………?」



何が何だかよくわからない。



私が悩んでたのって一体なんだっけ…。



やっぱり並んで置かれている傘を見つめて……



私は考え始めた。



せっかく中道に背中押して貰ったのに…。





「……中道……。」



なのに……



ひどいこと言った。




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