As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
最後に、客の耳の上に…花を一輪飾って。
「…うん、かわいい!」
客に言ったのか、自己満足なのか、上機嫌で声を掛けていた。
「…お前、この状況をどうやって?」
「…それはね、カメラしようと試みたんだけど……」
「…下手すぎんだよ。」
傍にいた能戸が……
口を挟む。
「…そう。で、能戸くんが…何でもいいから宣伝しろって。そしたらさ、サチちゃ…、いや、サチがこのアイディアを出してくれて……。」
『サチ』……?
ああ、そうか。
結が唯一仲良くしていた友達…か?
「…意外とね、ウチが美容室してるって知らない人多くて……。」
「…そっか。」
結は……周囲に話してなかったのか。
「能戸くん、撮影よろしく。」
「……はいよー。」
「…次の方どうぞ~。」
こうして見ていると……
手際もよくて、まるで本当の美容師にさえ見えた。
男の客も割と多く……、
分け隔てなく、平等に接する姿は……
さすがだと思う。
目指す職業がそうであるから……
柚にとっては当たり前のことだろう。
俺には……
到底、できそうもない。
正直…、柚が男の髪を楽しそうにセットする姿を見るのは……
心証よくない。
ましてや弾む会話を隣りでのんびり聞いているほど大人にもなれなかかった。
「うえはら……結!」
思わず声を掛けたけど…、
……人のことは言えなかった。
ぎこちのなさは…、こちらも同じ。
「……あほ。」
結のキャラじゃない言葉。
「……中道くん。柚は見つかった~?」
あえてなのか……
柚は明るい口調で聞いてきた。
「……お前に……話があるって。」
今、この状況ならば…結にっては……絶好のチャンスだ。
「でもね。今、手が離せないんだ。二人でゆっくり回ってきたら?」
「……はあ?」
なんだ……?
何を言って……。
「いーからさ。……少しのんびりしなよ。中道くんも、柚もこれからが忙しいんだから。」
「……けど……」
「…大丈夫。こっちには能戸くんいるし。」
「…うん、かわいい!」
客に言ったのか、自己満足なのか、上機嫌で声を掛けていた。
「…お前、この状況をどうやって?」
「…それはね、カメラしようと試みたんだけど……」
「…下手すぎんだよ。」
傍にいた能戸が……
口を挟む。
「…そう。で、能戸くんが…何でもいいから宣伝しろって。そしたらさ、サチちゃ…、いや、サチがこのアイディアを出してくれて……。」
『サチ』……?
ああ、そうか。
結が唯一仲良くしていた友達…か?
「…意外とね、ウチが美容室してるって知らない人多くて……。」
「…そっか。」
結は……周囲に話してなかったのか。
「能戸くん、撮影よろしく。」
「……はいよー。」
「…次の方どうぞ~。」
こうして見ていると……
手際もよくて、まるで本当の美容師にさえ見えた。
男の客も割と多く……、
分け隔てなく、平等に接する姿は……
さすがだと思う。
目指す職業がそうであるから……
柚にとっては当たり前のことだろう。
俺には……
到底、できそうもない。
正直…、柚が男の髪を楽しそうにセットする姿を見るのは……
心証よくない。
ましてや弾む会話を隣りでのんびり聞いているほど大人にもなれなかかった。
「うえはら……結!」
思わず声を掛けたけど…、
……人のことは言えなかった。
ぎこちのなさは…、こちらも同じ。
「……あほ。」
結のキャラじゃない言葉。
「……中道くん。柚は見つかった~?」
あえてなのか……
柚は明るい口調で聞いてきた。
「……お前に……話があるって。」
今、この状況ならば…結にっては……絶好のチャンスだ。
「でもね。今、手が離せないんだ。二人でゆっくり回ってきたら?」
「……はあ?」
なんだ……?
何を言って……。
「いーからさ。……少しのんびりしなよ。中道くんも、柚もこれからが忙しいんだから。」
「……けど……」
「…大丈夫。こっちには能戸くんいるし。」