As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「どうだった、中道くん。」
待ちかねていた結が、心配そうに……
顔を覗きこむ。
「……なんか、大盛況。あいつ…、ヘアーアレンジなんかしててさ。…あの様子なら、またすり替わっても…上手くやれそう。」
「ヘアーアレンジって……。…何でまた?」
「サチって人のアイディアみたい。」
「………サチ……。」
「ちゃんとお前のこと知ってるヤツ、いるんじゃん?」
「…………。」
結は目にうっすらと……
涙を浮かべていた。
「…ねえ。…わたし、どうしたらいい?」
「…どうにもこうにも……ゆっくり二人でまわって来いって言われたよ。」
「……え?」
「楽しそうだったし、柚自身は大丈夫そう。でも…忙しそうだったな。」
「柚、クラスに戻らなくて大丈夫なのかな。」
「まだ当番までは時間あるしな。…で。どうする?折角だし、リフレッシュして……楽しんでみねーか?」
「…………うん。」
結はちょっとだけきまりの悪そうな顔をして……
首を縦に振った。
「……でもさ。どれだけ気を遣ってるんだろうね、ウチに。」
「………さあ……?」
「…柚さ、私に中道くんのことって……全っ然聞いてこないんだよね。」
全然て……。
「私と別れたかどうかさえ聞いてこない。…あれだけ噂になったのに。」
「……あー…。俺らって結構噂に翻弄された節あんじゃん?だから基本…信じてないのかも。」
「……そっか。…中道くんは柚に言ったの?」
「……まあ、言ったけどさ。信じてんのか、そうじゃねーのか……、全くわかんねーな。」
「……そっか。ねえ、ひょっとして……、告白とかは……?」
「…………。」
そう来たか。
こんなの、結にしたら酷なのかどうか……。
でも、
もう……
隠す理由はない。
「…言ったよ。つーか、それに近いことも何度もあったのに…。」
「え。」
「……イヤ。こっちの話。でも……、振られたことに変わりない。」
「……!振られたの?!」
「……そんな大声で言われたら傷つくじゃん。」
「…あ……、ごめん。」