As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「おお~……。そりゃ嬉しいね。」




「…あと、柚から聞いてますから。」



「……ん?」



「手ェ出すの早いって。」



「……おっと。さすがしっかり者の柚ちゃん。そりゃあ手が出しづらくなるな。……で、その柚ちゃんは?クラスの仕事?」



「……はい、まあ…そんなとこです。」



「…大変だなあ…、こっちの当番もあるし、自由時間はちゃんとあるのかな…。」



「…………。」




大変だろうとは思っていたけど……


こっちの仕事も抱えてんのか。






「……中道くん、次…いこっか。」



「……ああ……。」




「じゃあ先輩、失礼します。」




「うん。じゃーね。」





三井はまだ何か言いた気だったけど……



結の方がそれを避けるようにして…、その場から離れていった。







「…中道くん、手ぇ出して?」


「ん。」



結は俺の手の平に……



パラパラとバクダンを落とす。




「ありがと。」



口の中にいれると……。


何とも素朴な味が、口いっぱいに広がった。




「……うまい。」



「…ホントだ。おいしー。」



小さい発見をした子供のように……


結はニカっと笑う。





「…次、どこに行く?」



「次…?次は……」





そんな会話をしながら…。




俺だけが、楽しんでいていいのだろうかと……



ぼんやりと、柚が働く姿を思い浮かべていた。






「……妖怪寺は?」



いや。あいつの意思を…無駄にはできない。




うん、
せっかくだから、学園祭らしいものを楽しまないと。




「……む、無理……。」



「怖いの?」



「うん。小学校のころ、地区の行事で肝試ししたことがあって……。あまりに怖くて泣いちゃった。以来トラウマで。」



「そうなんだ?」



「柚も駄目なんだよ~。なんせ、腰ぬかしたくらいだし。」



「ぉお、意外だな。弱点みっけ。」



「………。ごめん。また柚の話を…。思い出しちゃうよね。」




「………。いーじゃん?聞けた方が俺は嬉しいし。二人がどうやって過ごしてきたのか…あまり知らなかったから、興味もある。」



「……うん。…ありがと。」 




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