As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「…お化けが駄目なら…ここらでいっちょスポーツでもしねーか?」



「えッ、中道くんその格好で?!」



「…………。」



馴染み過ぎて忘れていたけど……


確かに、スポーツって格好じゃない。



「…ただのゲームだし、こんくらい余裕だよ。」



「そっか。んじゃあ…行こっか!」








結を連れてやって来たのは……



野球部・サッカー部合同の催し物。




「……随分、本格的だねぇ…。」



「そうか?」




ここでは。



野球・サッカー用とそれぞれに……



ストラックアウトが準備されている。



そして……



シンプルかつ人気のコーナーは、

ピッチャーやキーパーと、直接対決ができるコーナー。






「……あれ?あそこで投げてるのって里中くん?」



「……は?」



あいつの出番は……ラストの時間だろ?



けれど、マウンドに立っているのは……



結の言う通り、里中本人……。




「…バッターアウト!」


審判役の生徒が声を上げたのとほぼ同時に……





里中は、チラリとこっちに…目をやった。





更に。ヤツは帽子をとって……



こっちに近づいてきた。






「結ちゃん、さっきは妖怪寺でどーもね。」




『さっき』?



結は顔をこっちに向けて、


体の後ろに手をやると…



まるで、『ちがうちがう』と言っているかのように…

ジェスチャーする。




「…………。」



……て、ことは。



必然的にそれは……柚ってことか。



つーか、おばけ屋敷とか駄目だって話じゃなかったか?



こいつがいるから……



会いに行ったのだろうか。



でも、なんで……?



なんでこいつに正体バラさなかったんだ…?



「こちらこそどうも!」



戸惑っているのは結も同じ。


なんとか話を合わせようとしている。





「さっき伝言お願いしちゃったけどさ、状況かわっちゃって……」



「……あれ?伝言?……忘れてた!えっと…なんだっけ?」




「………。あ、言ってないならかえってよかった。」




俺ら二人は、ふーっと胸を撫で下ろす。





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