As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「やっと空き時間になったからさー、柚んとこ行こうと思ったんだけど、運悪くここで先輩に捕まっちゃって!1年の仕事だろって…交代させられたんだよね。あれ絶対やっかみだな。デートって言った途端だし。」



「……アハハ、お気の毒~。」



「つーかさ、柚にはここしか空きなかったのに……。」





この発言は。




間違いなく、結の心にも、もちろん俺の中にも……



ずしっと重たく投下された。




「……中道…。お前ばっか何ちゃっかり楽しんでんだよ。」



………嫌~な予感。




「一番の下っ端だろ?」



……間違いない。



「…つーか、おまえら別れてなかったんか。」



「「…………。」」



返答に困っていると…。




「別れたよ。我が儘言って…最後に付き合ってもらったってだけ!」





「「…………!」」



里中も。
俺も。

これにはさすがに驚いた…。



こうもアッサリ…言ってしまうとは。





「ほら、中道くん。私は十分付き合ってもらったから…、今度は里中くんに付き合ってやりなよ。新人くんは働きなさいっ。」




こっちを見た結は……。



何か吹っ切れたような、爽やかな表情だった。




「……結。お前は……?」



「私は、クラスの方に行く。当番…交代しなくちゃ。」




「…………。」




「結ちゃん。…いいの?」



言った手前…、里中も幾分か気を遣って聞いてきた。



「うん、全然!里中くん、こき使ってよね。この人…私を振ったんだから。」




「…………。そっか。なら遠慮なく。」




「………ゆ……」




「…もう、大丈夫!!完全燃焼したよ。」




「…………。」




「…言っておくけど……、私だって、中道くんの味方だよ。私だけは…ずっとずぅ~っと!!だから…、負けんなよっ!」







それは……



柚のあの言葉と同じくらいに……




何だか、心強かった。




最強の、味方を手に入れた気がした。




しかも……!




「…里中くん、ごめんネーッ!!私は中道くんの味方だから!!」



なぜか俺を差し置いて、堂々と宣戦布告するから……




「……望むとこだっての!!」



ヤツの闘志に火をつけたことはもちろんのこと。




< 322 / 739 >

この作品をシェア

pagetop