As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
中道は……
ちらちらとこっちを見ていたようだったけど。
佳明と共に……
また、戦いの場へと戻って行った。
きっとこれは、アトラクションに集客する為のパフォーマンスで……
深い意味はないのだと思う。
けれど、佳明が言っていた言葉は……?
一体何を意味するの?
……また、歓声が上がって……
気づけば、いつの間にか……
佳明が、ゴールを決めていた。
中道と佳明の両者が、ハイタッチして……
爽やかな笑顔を振り撒く。
「……次は……、野球対決なので、ぜひ見てって下さいね。」
佳明が宣伝すると。
「はあ?聞いてねーし!」
中道が、露骨に嫌がる。
佳明が中道に耳打ちして………
奴は、しぶしぶと首を縦に振った。
…と、ほぼ同時に……
女子の黄色い声が飛び交う。
なぜなら、
二人がその場で、上半身裸になっていたのだから。
「俺らのユニフォーム持ってきて。」
中道の指示に従って……
一人の部員が、ユニフォームを抱えて走ってきた。
上半身を着替えて、それから……
「……さすがにコレは無理あるか。」
野球部員が二人を囲んで……
目隠しする。
『生着替え中』と題した看板を掲げて。
「………アホか。」
こうすること、計画済みだった訳ね。
しばらくして。
野球のユニフォームを着た二人の姿が……
あらわになった。
やっぱり二人とも……、
これが一番しっくりとくる。
マウンドに立つのは……
佳明。
バッター、中道。
二人はしばし睨み合って。
それから……
キャッチーのサインに、佳明が頷いた。
大きく振りかぶって、
第一球………!
スパンッ!
…といい音を立てて。
キャッチーミットにおさまったその球は……。
まるで容赦のない、ストレート。
中道は……
微動だにしなかった。