As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
片付けをしている、クラスメイトたち。
私と三井くんはその傍で……今日の喫茶店の売上を数える。
「三井くんのスイーツ、いい値段だけどかなり出たね。売上に貢献しまくり。」
「……まあね。」
「パティシエなれるよ。」
「…それはどうも。」
そんな会話をしながら……
その作業を終える。
「……これって、すごい黒字じゃない?!」
「うん……、予想以上!」
「………てことは……」
「………うん、……大成功!!」
喜びの余り……
椅子から立ち上がった私達は、大きくハイタッチをした。
「………はいは~い、机の位置直すからお二人さんどけて~。」
その間に入って来て、わざとらしく『シッシッ』と追い払うかのような動作をする中道。
「……ヤキモチか?」
三井くんの、空気を読まない爆弾発言!
「俺はさっさと片して早く帰りたいだけ。もー…マジ疲れた。」
そりゃあ……
そうだよね。このくらいでヤキモチやくようなタチではない。
それに……
人の倍くらい働いていたし。
「中道も…、お疲れ。」
私は奴のジレを掴んで……
労う。
「……そりゃお前のほうだろっ」
ペチンっとデコピンで返された。
「………かわいくないな。」
帽子を被って、照れを隠したさっきの中道と…、大違い!
でもこれが。
本来の中道で………
「おかげで、楽しかったな。」
無邪気な笑顔で、さっきのデコピンを帳消しにしちゃう。
私は馬鹿みたいに……、
イライラと、
ドキドキを……
胸に飼いつづけたまま。
そのうち、担任が入ってきて……
私達のこれまでの頑張りを大いに褒めたたえた。
本格的な片付けは、連休明けにすると告げて……
簡単なHRは終了。
「……柚、お疲れ~!!」
「上原ご苦労さん!」
色んな人から、労いの言葉を掛けてもらい……、
不覚にも、涙が出そうになった。
良かった、実行委員になって……。
こんなに充実した気分は、初めてだった。
「柚~、アンタももう帰るでしょ?」
「ううん。まだちょっと仕事残ってるから。」