As Time Goes By ~僕等のかえりみち~



委員会は…、打ち上げと、片付けの段取りについての簡単な打ち合わせだった。




これにて……

解散。





その言葉を聞いたとき……




一気に肩の力がぬけていった。



知らず知らずのうちにかかっていたプレッシャー。



それら全てから……



解放されたようだった。







「…もう少し、一緒に仕事したかったな。」



廊下を歩きながら……、


三井くんが、冗談っぽく言った。



「…実行委員が三井くんと一緒で、ホント良かったよ!」



「………ソレ、本当に言ってる?」



「ホントホント!三井くん以外、有り得ないよ!」



「…………。」




ピタリと……

彼は、足を止めた。





「……なら……、中道なんかやめろよ。」



「………え?」



「……あんな奴の、どこがいいの?」



「……………。」



じりじりとその距離を詰められて……




ぐっと腕を掴まれる。





「……あいつといて、上原さんは安心なんてできるの?」



「…………。」



「…誰にだっていい顔をして、一つでも気になることがあるなら……、そっちを優先する。今までだって、沢山傷ついてきたんじゃないの?」



「…………それは……。」



「都合のいい時だけ、上原さんに構ってくる。これからだって、堂々巡りなのは目に見えてるじゃないか?」



「………。」



「あいつが本気で野球を続けるなら……、会う時間なんてますますなくなる。すれ違いばっかりになる。上原さんは、それに……本当に、耐えられるの?」




「……三井くん。それなら…佳明にも言えることだよ。」




「……本気でもない相手を、疑ったり心配になったりは…しないでしょ?」



「…………!」




「……あいつは、昔からそうなんだよ。周りにいい顔して、気に入られて……。けど、人を平気で傷付ける。陰で苦しむ人なんて、どうでもいい奴なんだ。」




「……昔から…?……三井くん、中道のことを……昔から知ってるの?」



「………。中道は、覚えてもいないみたいだけどね。」



「…………。」



じゃあ、三井くんは……



過去の中道に、何かされたっていうこと?


傷つくような……



何かを。



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