As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
そのうちに。
玄関の扉が開いて……
「……侑……!帰っきて……、って、あら……?」
中道の……おばあちゃんがやってきた。
「……あんた、前に家に来た子…だよね。」
「…え、ハイ!お久しぶりです。」
「ただいま、ばーちゃん。」
「おかえり。やっぱりこのコはお前の……」
「おう。紹介しとく。この人は…、上原柚。俺の…、彼女。」
また、彼女だなんて……。
「……『ゆう』?なんだい、あんた達同じ名前だなんて。」
「…………。」
「結婚したら、どっちも中道ゆうじゃない?」
けっ……
結………婚!!!
これにはさすがの中道も大慌て。
「まだ付き合ったばかりだから…、変なプレッシャー与えんなよ?」
「あら。でも付き合うってことはいずれ……」
「あのねえ。昔とは違うの!」
うう……、そんな必死に否定しなくても……。
「…まあ、でも……。コイツさえよけりゃあいずれは…ね。」
「…………!!??」
「…なーんて、な。…あ。固まってるし。」
「……侑。あまり彼女を困らせるんじゃないよ?」
「ハイハイ、大事にしますって。」
そんな二人のやりとりを……
私はただぽかんとして…見ていた。
「柚ちゃん、ご飯でも一緒にどう?」
「……あの……」
「ああ…、コイツ、もう帰んなきゃいけないんだ。もう送らないと。」
「…なんだ、もう帰るの?」
「……す、すみません。」
「謝ることじゃないよ。またゆっくり遊びにいらっしゃい?」
「……はい。」
「侑、もう暗いから……ちゃんとご自宅まで送り届けなさいよ?」
「はいよ!じゃー行ってくるから。」
「……お邪魔しました!」
中道のおばあちゃんは……
背を向けた私に、
「…柚ちゃん!侑を…よろしくね!」
そう、声を掛けてきた。
くるりと振り向くと。
優しそうな笑顔で顔をしわくちゃにしながら……
手を振っていた。
「……はい!もちろんです!」
ぺこりと一礼して……
大きく、手を振り返した。