As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
真っ暗になった道を……
二人肩を並べて歩く。
「…悪かったな。まだ付き合いもしてないっつーのに…。」
「……おばあちゃんが言ったこと?気にしてないよ?」
「そう?でも…。俺はお前以外に、そーゆーの考えらんないかも。」
「……えっ……?」
「まあ、時間はたっぷりあるからな。じっくりゆっくり行こうや。」
「………うん。」
どちらともなく手を繋ぎ、
長い長い坂を、支え合うようにして下って……。
辿り着いた、家の前。
離れ難いと思っているのは……
きっと奴も同じ。
別れの言葉が、なかなか出てこない。
「…じゃあ、また休み明け、学校で。」
私がそう告げると……。
「ん。」
中道が頷く。
「約束通り…、月曜日からは、いつも通り…だよ?」
「……わかってる。」
「………じゃあ、またね。」
「…………っ。」
去ろうと、背中を向けた瞬間に……、
後ろから……
中道が、私を抱きしめる。
「……こっち見て。」
俯く私に……
催促する。
「……嫌だ。」
「……何でだよ。」
背中が……熱い。
「………別れたくなるなるから。」
「………アホ。」
中道の笑う吐息が……
ふっと耳元を掠めた。
「……ちゃんと安心をくれ。お前が俺んとこに来るっていう約束を。」
「…………。」
「…今までは、一方的だったから。なんてゆーの?ちゃんと、確かめたい。」
例え想いが届いても……
まだまだあやふやで、不安定な恋だった。
目が覚めたら……夢だった。
そんなオチがあったって……
驚かないくらいに、自信なんてなくて……。
中道も、そうなのかな……。
揺れる気持ちが……
そこにあった。
まだ……言葉に出来ない分。私の方が……伝えきれていないかもしれない。