As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
いつもなら……、
手を繋いで歩いたいたこの廊下を。
佳明は私に指一つ触れることなく……
先を進む。
その距離が……
昨日までとは、違う二人の関係を……物語る。
ようやく足を止めたのは、
人気のない階段の…踊り場。
「……話って?」
彼の顔を……
まだ、直視できない。
「……。昨日は……、ごめん。」
「………。ううん。こっちの方が…。」
「「……………。」」
微妙~な空気が……
流れる。
「……なんかさ。」
「………。」
「さっき……、あいつと居たじゃん?」
「……うん。」
「だから……、思わず、つい。」
「…………?」
それはつまり……、
中道と一緒にいるのが…、嫌だったってこと?
でも……、
「……りっちゃんも一緒だったけど…。」
「…ん。わかってる。わかってるんだけどさ、あんな風に何事もなかったかのように笑い合ってるのを見ると……、さすがに堪える。」
「…………。」
「…中道には…もう気持ち伝えたの?」
「……ううん。」
「……なんだ…、そっか。」
佳明……。
顔が……、ホッとしてる。
「…これから毎日…、柚達のあんな姿見せつけられるのか…。たまんねーよな、実際。」
「……佳明。それでも…、私はあいつと気まずくなったりは…もう、したくない。」
「嫌な言い方だな。なら…、俺は?こっちの気持ち…、柚にはわかる?」
「……わかってても…、それは、もう…」
「………酷だよな。お前の中ではもう、とっくにケリがついてるみたいだ。」
「……………。」
「……今なら…、三井の気持ち、よくわかるな。」