As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
罵り合う関係から、ただのクラスメイトになったあの日から……
初めて縮まるこの距離。
しばらく進んで……
中道はやっと足を止めた。
「…お前は……、アホか!」
「なによ、わざわざそんなこと言う為に連れ出したの?」
「ちげーよ!お前が…、泣きそうな顔してるからだよ。」
「………何言って…。」
「あんなこと言われて、本当は悔しいんだろ。」
「……。別に…。相手にしてたらきりないし。」
「…怪我したこと、結ちゃんから聞いた。」
「………。結のおしゃべり……。よりによって何で中道に…。」
「…俺なら、お前の気持ちがわかるからじゃねーか?」
「あんたなんかに私の気持ちなんてわかるわけ……」
…あれ…?
どこかで聞いたことある言葉…。
「俺だから、わかるんだよ。」
「………。」
「泣いたって現実は変わるわけない。そう思うところまでは俺とお前は同じだ。でも…、お前は強い。簡単に諦めたりなんかしない。」
「…………。」
そういえば…、
中道は怪我で野球をやめたって……。
「お前は我慢強いって俺前言ったよな。我慢してないで…泣けるなら泣いた方がいいぞ。スッキリするし。」
「……なんで私がなかなきゃ……」
「……泣け。誰にも見せたくないなら隠してやるから。知られたくないなら、誰にも言わないから……。」
「………バカ中道……。今まで何のために……。」
何の為に、泣かなかったと思ってるの?
私が泣いたら、結が悲しむでしょう?
家族や部活の仲間に心配かけるでしょう?
負けちゃうでしょう?
自分の弱さを認めることになるでしょう…?
だから……
だから、人前で泣くのは嫌だったのに……
我慢してたのに………。
どうしよう。
涙が止まらない。
不覚にも……
中道の前で泣くなんて!