As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「あら。おかえり~。」
緊張はMAX。
戻ってきた教室の前……。
外されていた教室のドアが、いつの間にか元に戻っていて……。
私達は、手を繋いだまま…
そのドアを、開けた。
第一声は…。
私達のツーショットを見ても、顔色ひとつ変えることなく……、更に言えば声のトーンもいつもと変わることもない、
律の一言であった。
拍子抜けしたのはきっと、私だけじゃないけれど。
「ただいま~。」
しれっとした態度で言葉を返す中道も、ある意味強者である。
「仲良くおてて繋いで…、一体何してたのかしら?」
律はふふんと勝ち誇ったかのように……
うっすらと笑みを浮かべた。
「……あー…、うん。ちょこっといいことをネ。」
「わぁお。」
変な方向に話が向かうその前に、
私は…繋いだ手を離し、ついつい、中道の頭をはたく。
「……コラ。お前はまたすぐそーやって手ェ出す!」
「アンタが余計なこと言うからでしょー?!」
「余計なことだぁ~?事実だろ?」
「そんなやらしい言い方しなくたっていーじゃん。」
そんな、くだらない言い争いをしていると……
「………。勝手にしてなよねー、もう。でも……良かったじゃん、中道。」
律は少し笑って、それから中道に向かって…拳を突き出す。
「……おう。」
それに応えるかのように、奴は自分の拳を律のものへと……
コツンと合わせた。
「………?」
なんだかよくわからないけれど…、
「りっちゃんくらいだよ。いつもいつも俺に説教たれてたの。お陰で目ェ覚めた。」
「…そりゃあ良かったわ。ふぅ~ん…、私のおかげ?」
「まあね。」
「…なら。しばらくジュース奢らせてもいいよ。」
「……うまいなぁ…。いやいや、でもそんくらいはしねーとな。」
苦笑する中道も、踏ん反り返る律も、何だか楽しそうで……
いつの間にやら、この二人の間にこんな繋がりができていたのか……。
けれどそれすら、嬉しくてたまらなかった。