As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……おい、コラ。」
ピシャリと教室のドアを閉めてすぐに。
中道はじろりと私を睨みつけた。
「……は、ハイ……?」
怒っているような、そんな口調に戸惑いつつも……
もう逃げたくなんてないから、真っ直ぐに見つめ返す。
「…さっき…、どうした?」
「……なんだ、そのこと?何でもないって言ったじゃん。」
「…………。」
………こ……、怖い。
無言のままそんなじぃ~っと見られても……。
「………嘘こけっ。」
「……いたッ。」
突然飛んできたデコピンに、私は思わず…額を抑える。
「……誰かさんと見つめ合ってたくせに。」
……げ。
しっかりバレてるんじゃん……?
「……何があったのかは知らないけど、俺は一応お前の彼氏だし?困ってんなら何でも話して欲しい。また…、一人で抱えようとしてねーか?」
「……中道……。」
ああ……、なんだ…。
中道は……怒っている訳じゃないんだ。
心配……、してくれた…?
「……大したことじゃないよ。ホント、大丈夫だから。」
「……うん。そっか…。なら、いいんだけど。でも……、もし何かあったら、一番に俺に言えよ。一人で悶々するより、二人で解決していきゃあいいから。それに…、その為に、俺がいる。」
芯の強い真っ直ぐな瞳が……、
私を捕えて離さない。
「…………中道のそういう所、好きだなぁ……。」
おかげで…、つい、本音がポロリ。
「……はあ?!」
「……い…、今のは…、つい。…ごめん。何でもない。」
先に視線を逸らすとー……
「……。素直じゃないな。でも……、その方が、言わせ甲斐があるか。」
中道は、眉を垂らして…
……ふんわりと笑った。