As Time Goes By ~僕等のかえりみち~





「待たなくていいって言ってんのに。」





中道の口癖が、私達が会う時のお約束。




いくらクラスが同じといえど、


短い休み時間と授業の合間くらいでは物足りなくて……。






私はいつも、中道が部活を終えるのを待つ。




「雪降るころには…、もう少し、早く帰れるかもな。」




「……うん。」






雪国の野球部は……、


冬期間は、どうしても練習する場所が限られてくる。



もちろん、陸部も同じ。




私にとって、一緒に居る時間が長くなるのは嬉しいけれど……、



焦る中道にとっては、決して喜ばしいことではない。



なのに……、



君は私に合わせてくれる。






「……早く冬こねーかなぁ……。」





二人で手を繋ぎ、


静かにその訪れを待ちながら歩く帰り道……。




君が側にいる。




それだけで……、






いつでも、ドキドキだってしていたし……、





いつも見ていたはずの、この景色でさえも……




まるで別世界のように、





輝いて見えた。








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