As Time Goes By ~僕等のかえりみち~




私は今でも、
野球部が練習する光景を……



直視することができない。





なぜなら、やっぱりそう……、





佳明の存在が、どうしても目につくから……。




中道も、それをわかっているのか……



あまり、部活の話はしない。





秋季大会では県ベスト4に倒れたことをとても悔しがっていて……



レギュラーになれなかった自分にも、少しだけ、苛立ちを覚えていた。




なのに……




弱音は吐かない。




「俺は泣き場所あるから……、まだまだ頑張れるんだ。」



そう言って。


私の存在を肯定してくれる。





それに応えたくて……




「泣きたくなったらいつでも胸貸すよ。」




色気もない、男前なセリフで……激励する。






恋人だけど、友達みたい。




友達みたいなのに、心で寄り添い合う恋人同士。




そんなちょうどいい距離感で……





歩き続けていた。






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