As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「……柚……、柚、起きて。」
「…………?」
「……外!」
「………ほえ……?」
「雪…降ってるよ!」
「…………。嘘っ。」
布団の温もりがすっかり恋しくなったある日。
とうとうこの街に……
雪が降り始めた。
「……おはよー、結。てか、起こしてくれるの久しぶり……。」
「…だって、寝坊しそうだったんだもん。」
「……。あ。本当だ、もうこんな時間。」
私は布団をはぎとって……
それから、ベッドから下りる。
……が、
「……さ……、寒いっ!」
予想以上の冷え込み!
「……だからぁ、雪降ってるって言ったじゃん。」
私は毛布を頭から被って……、
窓際まで移動する。
真っ白になった窓の結露を擦ると……。
「……わあ……。」
ふわふわと舞う、小さな雪の粒……。
「……去年結が作ってくれた毛糸の帽子。今日から被っていこっかな。」
「……だね。私も今同じこと考えてた。」
地面には……
うっすらと積もる雪……。
その所々に、誰かの足跡があって……。
グレーのアスファルトが、見え隠れしていた。
「………ん?」
よくよく見ると。
その足跡は、家の周りを行ったり来たり。
道の先には……
ついてない。
「……まさか!」
「……?どうした?」
結が不思議そうに…、
私を見る。
ある予感に掻き立てられるようにして……
私は携帯を探し当てると、すぐさま画面を確認した。
「……やっぱり……。」
メールが……、
一件。
相手は……、もちろん、中道である。