Ａｓ Ｔｉｍｅ Ｇｏｅｓ Ｂｙ ～僕等のかえりみち～

「……試してみればいーじゃん。そしたらそんな不安も吹き飛ぶんじゃない？」




目の前で、サラッと大胆発言をする律。




相談相手を……誤ったか？





「……だーかーら、不安とかそういうんじゃないんだって！」




「………も～…、じゃあ何よ？アンタはどうしたいの。」




「…………。」





私は自分の席に頬杖ついて。





深い溜め息を吐く。





「……柚……？」





「……りっちゃん、私ね……。」




「……ん？」




姐御肌の律は、私の溜め息には弱いらしい。



一気に真剣な顔つきになった。









「…たまに……、怖くなる。」



「……何それ。」



「中道のことが、好き過ぎて……、怖いんだ。」




「……いいことじゃない。」




「違うの。」




「………？」




「…私の中での優先順位が変わっていってる。なんとなく…わかるんだ。中道あっての自分になってる…。私自身を…顧みなくなってる。」



「……へぇ……。」




「……重いよね…、中道にしたら。」




「……そうかなぁ…？」




「絶対重いって。」



「……う～ん、むしろ奴なら喜びそうだけど。」




「………なんで…？」




「だって、今まで奴がどんなに思いの丈をぶつけよーが、アンタは離れて行ってたでしょ？」




「………。」




おっしゃる通りで……。




「それが、今度は見返りがある。てか、それ以上のものをアンタが返しているなら……、奴はとことんアンタのそんなちっぽけな悩みにも、我が儘にも付き合ってやりそうだけど。」





「…………。」





「……強情なアンタも、しおらしくなったもんだね。」




律は満足げに……


にこりと笑った。






「……りっちゃん。ちょっと上原貸して。」



「……アラ、噂をすれば……。」






中道……。





「……何……？」




「…ちょっと購買付き合って。今日昼飯ねーんだ。」




「……？そーなの？」



「うん。ホラ、早くー。焼きそばパン売り切れる前に。」




「わ。わかった。」






私が席を立つと……。






「……いってらっしゃ～い！」




律はニタリと笑って、手をひらつかせた。